フンコロガシの詩

ヘビ老人

 思い起こせば楳図かずおにハマッたのは、小学生時代にリアルタイムで読んだ『ママがこわい』からである。今でも鮮烈に思い出せるのが、母親に成り済ましたヘビ女が生卵をググゥ〜ッと丸呑みして、「う……うまい」というシーンだ。首のシワといい、裂けた口といい何とも不気味で怖かった。

 実家に帰ると、まずすることは洗濯と食器洗いだ。ヘルパーさんが朝、キチンと洗ってくれた食器も、親父は使ってそのまま水洗いなので汚れが付着しており、食中毒予防のためにも洗い直さなければならない。
 そんな日々、シンクの片隅に目をやれば卵の殻が2〜3個転がっている。デイサービスから帰って、一気喰いしたらしい。
「うう、ヘビ老人……」。
 幼少時のトラウマで楳図脳になっているせいか、発想はすぐにそこに行き着く。
 当の本人である親父といえば、鼾をかいてベッドで寝ている。元々、青大将の田中邦衛系とでもいえばいいのか、目鼻立ちのハッキリしない輪郭もグズグズの顔立ちの上にトシ取ればタルミも更に進行するので、その姿はヘビ老人の抜け殻のようにも見える。昔からよく似た親子だといわれ、その度に「ブサイクなのはガキの頃から分かってらい!」とイライラしていたのだが、親父の寝顔を見ていると私もきっとヘビ婆になるんだろうな、と気の滅入ることなおさらである。
 朝は目玉焼きを食べ、オヤツに卵、たまに夕食にも卵焼きをご所望という調子なので、10個入りパックの卵もあっという間に無くなってしまう。老人の栄養失調が問題になっているが、親父に限ってはそんなこと絶対にないんだろうな。
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by kuroshiba2007T | 2012-09-11 00:07 | ムカッパラ | Comments(0)
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