フンコロガシの詩

ダウニー地獄

 10年ほど前にダウニーが話題になった頃、とりあえず新製品はチェックしたいクチなので、ドラッグストアで匂いを嗅いでみた。
「げげえッ、便所の香水やんけ!」
 そんな第一印象を持ったもんだから、ダウニーはずっと敵視していた。
 香りモノはオーガニックでないと受け付けない、なんて気取ったことはいわないが、安っぽい合成香料が苦手だ。本当に頭が痛くなる。
 
 そんなある日、ヘルパーさんとの連絡ノートを見たら「ダウニーを買ってください」とのご宣託が!
 洗濯洗剤も色物漂白剤もトコトン脱臭タイプのを選んでるんだがな、糞尿の染み付いたシーツや服を洗うのにはパワー不足らしい。確かに私もそれは痛感していたんだが、よりによってダウニーを買うはめになるとは(泣)。
 仕方ないので“オレの百貨店”(あるサイトではDQNの集客場と書いてあった。確かにな)ドンキホーテで涙目になりながらダウニーを探した。
 売場を見てみれば、何とものすごい種類があった。パッケージも毒々しいメキシコやベトナムやらのシリーズもあり、それぞれにキッツそうな香りの商品が揃っている。ダウニーを無かったこととして過ごしていたうちに、バリエーションが増えていたらしい。
 試し嗅ぎして偏頭痛を誘発すると大変なので、とりあえず一番良く見るタイプの大きいサイズと入れ替え用を3つほど購入。これがパッケージされているのにも関わらず、自宅に置いておいたら部屋に匂いが漏れて迷惑千万である。
 ちなみにダウニーの匂いがキライな人っていないのか?と思ってググッてみたら、やっぱりあるわ、「YAHOO!知恵袋」に。「会社で隣の人がダウニーの匂いがするので、頭痛と吐き気がします。どうしたらいいですか?」という質問と、それに賛同してアドバイスする人々の答えが。自分が孤独だと悩んでる人は「YAHOO!知恵袋」を読むといい。身の回りにはいなくても、世の中同じ考えの人っているんだな、と確認できるから。

 親父は何度直してもクーラーの設定温度を18℃にする。この夏はことのほか暑いが、それにしてもどうかしてるだろ。買い物を済ませて実家に入るとゾゾ〜ッとする。そして洗濯をすれば、ダウニーの匂い。卵の殻を捨てるためにゴミ箱を開ければ、糞尿の染み付いたリハパンの匂い。部屋にこもっている卵を焼いた匂い。それらが渾然一体となって押し寄せる。
 洗濯物を干すために2階に上がれば、ガラス窓から陽射しがさんさんと降り注ぐ室内は38℃はあるだろう。その中でダウニーの匂いをまき散らしながら洗濯物を干していると、汗が吹き出してくる。
「ああ、これが更年期のホットフラッシュってヤツだな」と納得するものの、理由はそれだけではないような気も。何しろ、18℃と38℃の部屋を行ったり来たりしてるからな。

 介護タイムを終えて自宅に戻れば、これまた大急ぎで夕食の支度だ。洗濯物を干すだけで指先にガッツリ染み付いたダウニーの匂いを気にしつつ、クーラーの冷気が届かない暑い台所でシャカリキにみじん切りやら煮物、炒め物をするので、またまた汗だくである。しじゅう眩暈がするのも、仕方あるまい。
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# by kuroshiba2007T | 2012-09-13 18:27 | ムカッパラ | Comments(0)

ヘビ老人

 思い起こせば楳図かずおにハマッたのは、小学生時代にリアルタイムで読んだ『ママがこわい』からである。今でも鮮烈に思い出せるのが、母親に成り済ましたヘビ女が生卵をググゥ〜ッと丸呑みして、「う……うまい」というシーンだ。首のシワといい、裂けた口といい何とも不気味で怖かった。

 実家に帰ると、まずすることは洗濯と食器洗いだ。ヘルパーさんが朝、キチンと洗ってくれた食器も、親父は使ってそのまま水洗いなので汚れが付着しており、食中毒予防のためにも洗い直さなければならない。
 そんな日々、シンクの片隅に目をやれば卵の殻が2〜3個転がっている。デイサービスから帰って、一気喰いしたらしい。
「うう、ヘビ老人……」。
 幼少時のトラウマで楳図脳になっているせいか、発想はすぐにそこに行き着く。
 当の本人である親父といえば、鼾をかいてベッドで寝ている。元々、青大将の田中邦衛系とでもいえばいいのか、目鼻立ちのハッキリしない輪郭もグズグズの顔立ちの上にトシ取ればタルミも更に進行するので、その姿はヘビ老人の抜け殻のようにも見える。昔からよく似た親子だといわれ、その度に「ブサイクなのはガキの頃から分かってらい!」とイライラしていたのだが、親父の寝顔を見ていると私もきっとヘビ婆になるんだろうな、と気の滅入ることなおさらである。
 朝は目玉焼きを食べ、オヤツに卵、たまに夕食にも卵焼きをご所望という調子なので、10個入りパックの卵もあっという間に無くなってしまう。老人の栄養失調が問題になっているが、親父に限ってはそんなこと絶対にないんだろうな。
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# by kuroshiba2007T | 2012-09-11 00:07 | ムカッパラ | Comments(0)

見える人

 介護サービスを利用していると、定期的にケアマネ、ヘルパーさん、デイの担当者と会議を行う。内容はデイや家でどう過ごしているかの報告やサービス内容の希望など、まぁ相互確認といったところだ。
 先日、その会議があったので、親父のセクハラ事件がその後どうなったか、デイの担当者に聞いてみた。そうしたら、何とまだ続いているというではないか! さすがに、デイのほうでも他の利用者に被害が及ばないよう気をつけているので、触られるのはもっぱら職員らしい。それもポッチャリ系がお好みのようだ。
 しかしながら私は、呆れこそはすれ、もう驚かなかった。そればかりか、「さもありなん」と思ったのだ。 
 というのも、さる実力派のスピリチュアルな方、いわゆる「見える人」と久々にお会いしたときのこと。
「最近どう?」と聞かれたので、「親父の介護でクタクタですわ(大阪弁ふうに)」と答えたところ、「ちょっとお父さんの名前を見せて」と乞われて、ノートに書いて見せた。
 一瞥してから先方は「う〜ん、この話は言わないでおこう。男同士で話したほうがいいから」と言いよどんでいるので、ズバリ「セクハラですか?」と聞いてみた。
 案の定、そのとおりで、親父の名前の画数は「老後に色惚けの相」らしい。
 心配になったので「警察沙汰や裁判起こされたりとか、ありますかね?」と聞くと、「それはないので、放っておいても大丈夫」との答だった。
 もしかして、「モーニング娘。」や「藤岡弘、」のようにすればいいのかもしれないが、そのために今さら改名ってのもなと思い、何もしていないのが現状である。  
 試しに今度、デイサービス用の書類に親父の名前を書き込むとき、小さく「。」や「、」でも付けてみるかな。
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# by kuroshiba2007T | 2012-02-17 17:26 | ムカッパラ | Comments(0)

ワイルドサイドを歩けば

 ぷち鬱でブログもしばし放置していたが、またぼちぼち始めるかと思い、親父がデイで書いてきた習字を公開する。
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 どうよ、コレ? デイで着替えた洗濯物を洗うかとカバンを開けてコレを見つけたときにゃ、「この期に及んでこうくるのかよ!」と怒りで思わず手がわなわなと震えたぜ。
「ネタだッ!」と思ったのも事実だがな。
 デイの習字はいくつかあるお手本の中から好きなものを選んで書くようだが、何も事欠いてコレを選ぶこたぁないだろ。っつーか、何故こんなお手本が? 誰かの詩や小説の一部なのか? デイの職員に確認しようと思いつつ、未だ出来ないでいる。
 もう20年ほど前、雑誌で「ロック名盤特集」の編集をしていた時の話だが、初校を見ていたらルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」が誤植で「ワイルドサイドを歩けば」になっていたことがあった。
「ば」が付くだけで原曲のキャムプな雰囲気ぶちこわし、ワイルドとはほど遠い間抜けぶりがおおいに気に入ってネタにしていたのだが、それがよもや我が身に降り掛かるとはなぁ、トホホである。
 私の修行道はまだまだ続くようだな……。
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# by kuroshiba2007T | 2012-01-30 00:40 | ムカッパラ | Comments(0)

突然ですが、単行本が出ます!

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自分でも驚いちゃうのですが、このブログが単行本に!
タイトルは『カイゴッチ38の心得 燃え尽きない介護生活のために』でシンコーミュージック・エンタテイメントから6月20日に発売。震えて(笑って?)待て! 詳細は追々に〜。

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# by kuroshiba2007T | 2011-06-03 17:37 | Comments(5)